発覚後、させていただきます。


タイトル:発覚後、させていただきます。

一見して意味が通じるようで、よく読むと何も明確には言っていない。

この張り紙に記された言葉は、日本語における「婉曲表現」や「責任回避の美学」を極限まで抽象化したものです。

「発覚後」とは何が発覚するのか、「させていただきます」は何をするのか、肝心な情報は一切書かれていないにも関わらず、丁寧語で整えられた文体は、あたかも意味のある対応がなされるかのような印象を与えます。

この曖昧で形式的な言葉は、現代社会におけるコミュニケーションの空洞化を象徴しています。特に企業や行政、あらゆる「責任主体」が用いる言語が、しばしばこのように中身を持たないまま体裁だけを整えている現実を、作者はこの一枚の貼り紙によって可視化しています。

格子越しに見える都市の風景と張り紙との対比も、外部との断絶や、見えているようで見えていない現実を象徴する要素として機能しています。

場所:厚木一番街・横濱ホルモン会館エース付近


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